エネルギー産生栄養素バランス

献立

給与栄養目標量でエネルギーの設定ができたら、エネルギー産生栄養素のバランスを設定します。

広告ディスプレイ横長

エネルギー産生栄養素バランスとは

エネルギー産生栄養素バランスは、「エネルギーを産生する栄養素(energy-providing nutrients, macronutrients)、すなわち、たんぱく質、脂質、炭水化物(アルコールを含む)とそれらの構成成分が総エネルギー量摂取量に占めるべき割合(%エネルギー)」としてこれらの構成比率を示す指標である。これらの栄養素バランスは、エネルギーを産生する栄養素及びこれら栄養素の構成成分である各種栄養素の摂取不足を回避するとともに、生活習慣病の発症予防とその重症化予防を目的とするものである。実質的には、前者を満たした上で、後者を主な目的とするものであるため、その指標は目標量とするのが適当である。

エネルギー産生栄養素バランスを設定する順番

エネルギー産生栄養素バランスの中で、たんぱく質には必要量が存在し、推定平均必要量が算定されている。不足を回避する目的からは、推奨量を摂取することが勧められる。脂質は、脂肪酸に細分類される。n─6系脂肪酸、n─3系脂肪酸には目安量が算定されている。その一方で、飽和脂肪酸には目標量が設定されている。炭水化物は必須栄養素であるが、特殊な条件下を除けば、摂取量が必要量を下回ることは考えにくい。以上より、エネルギー産生栄養素バランスを定めるには、たんぱく質の量を初めに定め、次に脂質の量を定め、その残余を炭水化物とするのが適切であると考えられる。なお、アルコールはエネルギーを産生するが、必須栄養素でなく、摂取を勧める理由はない。そこで、これらの栄養素バランスにアルコールを含める場合には、たんぱく質と脂質の残余を炭水化物とアルコールと考えるのが最も適当であると考えた。(日本人の食事摂取基準2020年版1-5エネルギー産生栄養素バランス、1基本事項より

エネルギー産生栄養素バランスを設定する順番は

  1. まずはたんぱく質
  2. 脂質
  3. 残余を炭水化物とする

 設定する前に、現在の献立のエネルギー産生栄養素バランスを理解しましょう。

覚えていますか?Atwater係数(たんぱく質4kcal/g、脂質9kcal/g、炭水化物4kcal/g)

例:エネルギー1800kcal、たんぱく質15%、脂質25%、炭水化物60%の場合

たんぱく質15%

①必要エネルギー量×②たんぱく質の構成比率=③たんぱく質で摂取するエネルギー量
①1800kcal×②15%=③270kcal

③たんぱく質で摂取するエネルギー量÷④たんぱく質のAtwater係数=⑤たんぱく質の摂取目標量
③270kcal÷④4kcal/g=⑤67.5g

脂質25%

①必要エネルギー量×⑥脂質の構成比率=⑦脂質で摂取するエネルギー量
①1800kcal×⑥25%=⑦450kcal

⑦脂質で摂取できるエネルギー量÷⑧脂質のAtwater係数=⑨脂質の摂取目標量
⑦450kcal÷⑧9kcal/g=50g

炭水化物60%

①必要エネルギー量×⑩炭水化物の構成比率=⑪炭水化物で摂取するエネルギー量
①1800kcal×⑩60%=⑪1080kcal

⑪炭水化物で摂取するエネルギー量÷⑫炭水化物のAtwater係数=⑬炭水化物の摂取目標量

⑪1080kcal÷⑫4kcal/g=⑬270g

炭水化物はたんぱく質と脂質の残余なので

①必要エネルギー量-(③たんぱく質で摂取するエネルギー量+⑦脂質で摂取するエネルギー量)

①1800kcal-(③270kcal+⑦450kcal)=⑪1080kcal

でも計算できます。

献立を作成する上で実現可能か判断するために現在の給与栄養量からエネルギー産生栄養素バランスを計算し、現在の状況を理解しましょう。

コメント